AIでiOSアプリを作る:落とし穴と確認ポイント
著者:Mehdi Azizi
更新・9 分
Claude、ChatGPT、CursorはiOSのコードを速く書きます。署名、サブスク、Appleの審査、実機テストなど、AIが見落とす点と確認方法を解説します。
AIでiOSアプリを作る:結論から
はい、初心者でもAIでiOSアプリを作れます。この作り方には名前があって、バイブコーディングと呼ばれています。Claude、ChatGPT、Cursorは、画面、ナビゲーション、シンプルなロジック、データベースの呼び出しをとても上手に書いてくれます。苦手なのは、コードの外で起きることすべてです。アプリの署名、App Store Connectの設定、サブスクリプション、Appleの審査、そして実機のiPhoneでしか出ないクラッシュです。
つまりAIは、作業の中でいちばん目に見える部分で何週間も時間を節約してくれます。でも、アプリが実際にリリースできるかどうかを決める部分では、あなたを一人にします。このガイドでは、その境界線がどこにあるか、AIを役立つ状態に保つための指示の出し方、そしてAppleやユーザーに指摘される前にAIが作ったものを確認する方法を紹介します。
僕は毎日、ClaudeとCursorで自分のiOSアプリを作っています。ミニゲーム付きの目覚ましアプリSolysと、トレードシミュレーターのTradaZenはApp Storeで公開中です。NoleraとClicはAppleにリジェクトされ、その後修正しました。ここに書くことはすべてこの実作業から来ていて、デモではありません。どのツールにするかまだ迷っているなら、iPhoneアプリ向けにClaude Code、Cursor、ChatGPTを比較した別のガイドがあります。
AIが本当に得意なこと
画面とナビゲーション
画面を正確に説明すれば(何を表示するか、各ボタンが何をするか、リストが空のときどうなるか)、AIは数秒できれいなコンポーネントを返してくれます。ここがいちばん劇的に効率が上がるところで、特にReact NativeとExpoではそうです。AIがこの種のコードを大量に見てきているからです。ちなみに、これは僕が全アプリで使っているスタックで、理由はモバイルアプリのためのReact NativeとExpoのページで説明しています。
シンプルなビジネスロジック
スコアの計算、リストの並べ替え、日付のフォーマット、フォームのバリデーション。AIは速く、かなり正確にこなします。ただし、エッジケースを伝えることが条件です。空のリスト、長すぎる入力、別のタイムゾーンの日付。名前を挙げないと、いつも処理してくれるとは限りません。
分からないことを説明させる
これがいちばん過小評価されている使い方です。エラーメッセージ、設定の一部、Appleのリジェクト文を貼り付けて、「修正せずに、これが何を意味するか説明して」と頼んでください。説明が自分のプロジェクトに即しているので、チュートリアルを読むより早く学べます。
バックエンドの接続
Supabaseでテーブルを作る、ログイン中のユーザーのデータを読む関数を書く、ローディング状態を管理する。AIはこれらのツールをよく知っています。ただセキュリティには注意してください。これは後で詳しく話します。
iOSアプリ作りでAIが見落とすこと
「週末でアプリを作った」系の動画では誰も見せてくれない部分です。どの項目も、それだけで公開を何日も止める可能性があります。さらに、非公開APIに対するITMS-90338のような、送信時の自動チェックもあります。
署名と証明書
iPhoneで動かしてApp Storeに出すには、Apple Developerアカウントに紐づいた証明書とプロビジョニングプロファイルでアプリに署名する必要があります。AIは仕組みを説明できますが、許可されたアクセスがなければあなたのアカウントのことは分かりません。もう存在しない手順をでっち上げたり、Xcodeの方法とExpoの方法を混ぜたりすることもあり、それが送信時のITMS-90034につながることがあります。EAS Buildなら、プッシュキーも含めて、ツールがこれらのファイルを生成・管理してくれます。推測された手順に従うより、ツールに任せてください。
App Store Connectの設定
アプリのページ、バンドルID、プライバシーに関する申告、暗号化についての質問、スクリーンショット、利用規約へのリンク。これらの情報は提出するバージョンと一致している必要があります。Claude Code with Chromeのように、ログイン済みのブラウザ上で操作できるエージェントもあります。このアクセスは許可したうえで使い、結果を確認してください。現在の画面を読まずに暗記した手順は、古くなっている可能性があります。
サブスクリプション
AIにいちばん時間を奪われるのがここです。ペイウォールのコード自体は簡単です。難しいのは3か所の整合性です。App Store Connectで作成したプロダクト、RevenueCatでの設定、そしてそれを表示するコード。IDが1文字違う、プロダクトがまだバージョンと一緒に審査に出されていない。それだけで、審査担当者の画面ではペイウォールが空になります。適切なアクセスを渡せばAIはこれらのコンソールを読めますが、アクセスがなければコードとの整合性は確認できません。作業の全体像はiOSのアプリ内課金サブスクリプションのページで詳しく説明しています。
Appleの審査
AIはApp Review Guidelinesの大筋は知っていますが、審査担当者の目でアプリを見ることはできません。小さいiPhoneで必須の画面が切れていること、評価のリクエストが早すぎること、審査メモにデモアカウントがないこと、アプリがWebサイトに似すぎていてガイドライン4.2に引っかかること。こういったことを自分から教えてはくれません。最初の2つは、僕が実際にSolysで受けたリジェクトで、Appleがアプリをリジェクトする理由で詳しく書いています。
実機のiPhoneでのクラッシュ
シミュレーターや開発用アプリは多くのことを見逃してくれます。本番の実機iPhoneは違います。ビルドに含まれていないネイティブモジュール、説明文のない権限リクエスト、起動直後の早すぎるデータ読み込み。アプリが開いてすぐ、何のメッセージもなく閉じます。エージェントはテストを実行したりスクリーンショットを解析したりできますが、それは検証の仕組みがそれを許している場合だけです。シミュレーターの結果だけでは、iPhoneにインストールしたバイナリの検証にはなりません。毎回の送信前に、自分の端末にアプリを入れるのはあなたの仕事です。TestFlightはそのためにあります。
AIは正しそうに見えるコードを書きます。本当に正しいかを教えてくれるのは、iPhoneでのテストだけです。
AIを役立つ状態に保つための指示の出し方
問題がモデルの賢さであることはほとんどありません。問題は、あなたがAIに何を読ませるかです。
コンテキストを一度でまとめて渡す
プロジェクトのルートに短いファイルを書いて、スタック(Expo、SDKのバージョン、Supabase、RevenueCat)、フォルダ構成、ルールを記述しておきます。Claude CodeはCLAUDE.mdファイルを読み、Cursorには独自のルールファイルがあります。このコンテキストがないとAIは推測し、しかもあなたとは別のスタックを推測しがちです。Claude Codeでアプリを作るチュートリアルに、このファイルの完全な例を載せています。
小さなタスクに分ける
「サブスク付きの習慣トラッカーアプリを作って」と頼むと、巨大で壊れやすいプロジェクトができます。「今日の習慣を一覧表示する画面を、空の状態とローディング状態つきで作って」なら、5分で読み直してテストできる画面ができます。タスクを1つ、確認できる結果を1つ、それから次へ。
コードの前に計画を出させる
複数のファイルにまたがる作業では、まず「計画を提案して、まだコードは書かないで」と頼みます。計画を読み、おかしなところを直してから実行します。ボタンを1つ追加するためにAIがプロジェクトの半分を書き直す、という予想外の大改修を防げます。
最新のドキュメントを読ませる
ツールの変化は速いです。Expo、RevenueCat、App Store Connectは定期的に変わります。回答が怪しいと思ったら、公式ドキュメントのページを会話に貼るか、それをAIに渡せるツールを使ってください。今日のドキュメントを読んだAIは、2年前のものを覚えているだけのAIよりずっと間違えません。
決定権は自分が持つ
AIは提案し、あなたが決めます。アイデア、価格、アプリがやらないことの選択。それはあなたの仕事です。AIが提案する機能を全部追加させると、1つのことをとても上手にこなすアプリではなく、10個のことをそこそこにこなすアプリになります。最初のバージョンの範囲を決めるには、iOSアプリのMVPのページを読んでください。
AIが作ったものを確認する方法
これが、公開までたどり着く人と、作りかけのプロジェクトを積み上げる人を分けるスキルです。
すべての変更を読み直す
1行ずつ全部を理解する必要はありません。でも3つの質問には答えられるようにしてください。どのファイルが変わったか、なぜか、そして自分が頼んだことと合っているか。依頼と関係ないファイルをAIが触っていたら、受け入れる前に理由を聞いてください。
パソコンだけでなく、iPhoneでテストする
できるだけ早く自分のスマホにアプリを入れ、重要なステップごとに繰り返します。インストール後の初回起動、機内モード、小さい画面と大きい画面、フォームでキーボードを開いた状態を確認してください。これは僕が自分のすべてのアプリで、Appleに送る前に毎回守っているルールです。
自分に見えないものを見るツールを入れる
僕のアプリでは、Sentryが原因のコード行つきでクラッシュを報告し、PostHogがユーザーの離脱ポイントを見せてくれます。これがないと、本番のバグは低評価がつくまで見えないままです。導入はAIに手伝ってもらえますが、それが伝えてくることを見るのはあなたです。
データのセキュリティに気を配る
AIがSupabaseでテーブルを作ったら、アクセスルール(RLSポリシー)が有効になっているか確認してください。各ユーザーは自分のデータだけを読めるべきです。また、シークレットキーがアプリのコードに入っていないことも確認してください。アプリのコードは逆コンパイルされる可能性があります。この2つは、禁止しておかないとAIがやりがちなミスです。
逆の質問をする
コードが書けたら、「ここで壊れる可能性があるのは何?」や「Appleの審査担当者としてこのコードを読み直して」と聞いてください。コードを書いた同じモデルでも、質問の角度を変えると自分の見落としに気づくことがよくあります。iPhoneでのテストの代わりにはなりませんが、やり直しの回数は減ります。
初心者のための現実的な道のり
- ごく小さなアイデアを選ぶ:メインの機能は1つ、10個ではありません。
- AIがよく知っているスタックを入れる:Expo、React Native、アカウントが必要ならSupabase。
- 画面ごとに作る:1回の依頼に小さなタスク1つ、各ステップでテスト。
- iPhoneでテストする:開発ビルドで、その後TestFlightで。
- 収益化をつなぐ:App Store Connectのプロダクト、RevenueCat、ペイウォール。
- App Storeの提出資料を準備する:アプリのページ、スクリーンショット、プライバシー、審査担当者へのメモ。
- Appleに送信する:返答をよく読み、求められたことを修正します。
どのステップにも落とし穴があり、AIが助けてくれるのはその半分です。全体像は、iPhoneアプリを作るのページで道のり全体を詳しく説明しています。自分で1行もコードを書かずにどこまで行けるか気になるなら、コードを書かずにアプリを作るを読んでください。
AIでiOSアプリを作り、App Storeまで届ける
AIは、誰がiOSアプリを作れるかを変えました。でも、公開のためにAppleが求めることも、最初のサブスク収入を得るために必要なことも変えていません。その部分を詰め込んだのがiOS Kitです。サブスクも含めた僕のアプリのスターターコードと、各ステップ用のClaude Codeスキルが入っています。道のりは使うツール別に詳しく説明しています:Claude Code講座、またはバイブコーディング講座。トップページでは、この方法でモバイルアプリを作る流れをステップごとに紹介しています。
コード、AI、Appleのどこでつまずいているのか分からない?無料の診断で原因が分かり、僕のApple対策リジェクト防止チェックリストも届きます。
収入も公開も約束はしません。審査を通すかはAppleが決め、それ以外は市場が決めます。僕が渡せるのは、自分のアプリで実際に使っている方法です。
よくある質問
初心者でもAIでiOSアプリを作れますか?
はい。AIは画面、ナビゲーション、シンプルなロジック、データベースの呼び出しをとても上手に書きます。苦手なのはコードの外で起きることすべてです。署名、App Store Connect、サブスクリプション、Appleの審査、実機のiPhoneでしか見えないクラッシュがそれにあたります。
iOSアプリ作りにはどのAIを使えばいいですか?
Claude、ChatGPT、Cursorは、画面、ナビゲーション、シンプルなロジックをとても上手に書きます。問題がモデルの賢さであることはほとんどなく、何を読ませるかが問題です。スタック、ルール、最新のドキュメントを渡してください。iPhoneアプリ向けにClaude Code、Cursor、ChatGPTを比較した別のガイドもあります。
ChatGPTでアプリは作れますか?
目に見える部分なら作れます。ChatGPTはClaudeやCursorと同じく、画面、ナビゲーション、シンプルなロジック、データベースの呼び出しをとても上手に書きます。ただ、許可されたアクセスがなければあなたのAppleアカウントのことは分からず、審査担当者の目でアプリを見ることもしません。コードが正しいかを教えてくれるのは、iPhoneでのテストだけです。
AIで自分のアプリを作る手順は?
ごく小さなアイデアを選び、メインの機能は1つに絞ります。AIがよく知っているスタック(Expo、React Native、アカウントが必要ならSupabase)を入れます。画面ごとに、1回の依頼に小さなタスク1つ、各ステップでテストしながら作ります。開発ビルド、続いてTestFlightでiPhoneでテストしてから、収益化をつなぎ、App Storeの提出資料を準備して、Appleに送信します。
AIが書いたコードはどう確認すればいいですか?
すべての変更を読み直します。どのファイルが変わったか、なぜか、依頼と合っているか。できるだけ早く自分のiPhoneにアプリを入れ、重要なステップごとに繰り返します。Supabaseのアクセスルール(RLSポリシー)が有効か確認してください。シークレットキーがアプリのコードに入っていないことも確認します。アプリのコードは逆コンパイルされる可能性があります。
AIが書いたペイウォールが審査担当者の画面で空になるのはなぜですか?
ペイウォールのコード自体は簡単です。難しいのは3か所の整合性です。App Store Connectのプロダクト、RevenueCatでの設定、それを表示するコード。IDが1文字違う、またはプロダクトがまだ審査に出されていないだけで、ペイウォールは空になります。これらのコンソールへの適切なアクセスがなければ、AIはこの整合性を確認できません。