Guideline 1.4.1 健康アプリのリジェクト対策
著者:Mehdi Azizi
公開・10 分
健康アプリは出典と測定方法を公開し、実際に測れるものだけを示し、医師への相談を促せばGuideline 1.4.1を通過できます。
Guideline 1.4.1は、誤った情報を提供したり、診断や治療に使われたりする可能性のある健康アプリが対象です。Appleはこうしたアプリをより厳しく審査します。通過するには、アプリが出典と測定方法を公開し、実際に測れるものだけを測れると主張し、医師への相談を促す必要があります。 iPhoneのセンサーだけで血圧を測れると主張するアプリはリジェクトされます。
このガイドはAppleの審査についての話で、医療の話ではありません。ここに書いてあることは医療アドバイスではありません。僕は自分のiOSアプリを公開しています。後半では、離乳食アプリを1.4.1に合わせてどう設計するかを、作例で紹介します。公式の文章は2026年10月15日に確認しました。ほかのリジェクト理由については、Appleがアプリをリジェクトする理由を読んでください。
Guideline 1.4.1には何が書かれている?
1.4「Physical Harm」は、App Review Guidelinesの「Safety」セクションに属します。冒頭はこうです。「If your app behaves in a way that risks physical harm, we may reject it.」続く1.4.1は医療アプリが対象です。「Medical apps that could provide inaccurate data or information, or that could be used for diagnosing or treating patients may be reviewed with greater scrutiny.」
本文には4つの要件があります。
- データと測定方法の公開。「Apps must clearly disclose data and methodology to support accuracy claims relating to health measurements」。精度や方法を検証できなければ、アプリはリジェクトされます。
- センサーによる偽の測定をしない。 Appleは、X線撮影ができる、あるいは血圧、体温、血糖値、血中酸素を「using only the sensors on the device」で測れると主張するアプリをリジェクトします。
- 医師への相談の案内。「Apps should remind users to check with a doctor in addition to using the app and before making medical decisions.」
- 承認書類へのリンク。 アプリが規制当局の承認を受けている場合は、その書類へのリンクを提出物に添えます。
1.4セクションの関連ルール
リジェクトでは、隣接するサブルールが引用されることもあります。
| ルール | 対象 | Appleが求めること |
|---|---|---|
| 1.4.1 | 医療アプリ | 出典、方法、医師 |
| 1.4.2 | 投与量の計算 | 認可された提供者か承認 |
| 1.4.3 | タバコ、薬物、アルコール | 一切の推奨をしない |
| 1.4.4 | 交通取り締まり | 公式の情報源 |
| 1.4.5 | 危険なチャレンジ | 危険なチャレンジをしない |
いちばん厳しいのは1.4.2です。薬の投与量計算ツールは、製造元、病院、大学、医療保険会社、薬局、その他の認可された組織から提供されるか、FDAまたは同等の機関の承認を受けている必要があります。つまり、承認を持たない個人開発者は投与量計算ツールを公開できません。 1.4.3は、一部の飲みゲームのように過度な飲酒をあおるアプリも対象にしています。
あなたのアプリは「医療アプリ」?
Appleはリストを出していません。判断の目安になる公式の手がかりは3つです。
年齢制限の質問票。 その定義では2つの分類が分かれています。「Medical or Treatment Information」は、薬や緊急時についてのアドバイスなど、病気の診断や治療を扱います。「Health or Wellness Topics」は、カロリー管理、ダイエット、エクササイズといった生活習慣のアドバイスです。エクササイズを提案するフィットネスアプリは、どちらかといえば後者に入ります。Appleの区分では、ウェルネスは9+から、たまに出てくる医療情報は13+、頻繁に出てくる医療情報は16+で登場します。
医療機器の申告。 EU、イギリス、アメリカで配信するアプリは、2つのケースで規制対象の医療機器かどうかを申告する必要があります。プライマリまたはセカンダリのカテゴリがHealth & FitnessかMedicalの場合。または、質問票の医療情報の項目で「Frequent」と答えた場合です。健康機能がなければ「いいえ」と答えます。
国の法律。 フランスではANSMが、医療目的を持つ一部のソフトウェアは医療機器にあたると説明しています。その場合はCEマークが必要で、位置づけは特に使用目的によって決まります。アプリが診断、病気のモニタリング、治療をするなら、審査の問題である前に規制の問題です。
Appleのフォーラムでは、睡眠アプリ、BMI計算アプリ、食事記録アプリなど、開発者がただのウェルネスアプリだと考えていたものが1.4.1でリジェクトされたという報告があります。審査担当者が見るのはアプリに表示される内容で、選んだカテゴリではありません。
iPhoneで測定する:センサーより大事なのは「何を約束するか」
作例:カメラに指を当てさせて、血圧を表示するアプリ。スマホだけではこの数値を検証できません。まさにこのルールの典型例です。同じアプリは、不正確なデバイスデータを禁じる1.1.6に引っかかるリスクもあります。
残された道は2つです。HealthKit経由で、専用の機器が測ったデータを、その出典を表示したうえで読み込む。あるいは、精度を裏づける方法とデータを公開する。こちらは本格的な検証が前提になります。
HealthKitを使う場合は、いくつかルールが加わります。
- HealthKitのデザインルールでは、健康機能がないのに健康データへのアクセスを求めないこと、必要になったタイミングで求めることが示されています。
- ルール5.1.3は、HealthKitに誤ったデータを書き込むこと、個人の健康データをiCloudに保存すること、広告に使うことを禁じています。
- カメラと同じく、アクセスごとにInfo.plistに説明文が必要です。ITMS-90683のガイドを見てください。
- HealthKitのドキュメントは、臨床記録を有効にしながら使っていないアプリはApp Reviewでリジェクトされる可能性があると警告しています。
出典、注意書き、医師の案内:どこに置くか
Appleのフォーラムに公開されている1.4.1のリジェクトメッセージでは、アプリ内での出典の明記と、見つけやすい出典へのリンクが求められています。注意書きはしっかりした出典を補うもので、その代わりにはなりません。
僕ならこうします。
- 各アドバイスの下に「出典」リンクを置き、そのアドバイスを出している機関(WHO、その国の保健当局、学会)につなげる。
- 医師への相談の案内は、利用規約の中だけでなく、ユーザーがアドバイスを読む場所に置く。
- ストアのページでも同じように慎重にする。治る、診断できる、専門家の代わりになる、といった約束は一切しない。
作例:離乳食アプリの設計
離乳食アプリを作っているなら、設計の一例を紹介します。Appleのお墨付きではありません。食事アプリが必ずしも医療アプリになるわけではありません。でも、月齢、アレルゲン、窒息のリスクを親に向けて語ると、すぐに1.4.1に近づきます。
設計のポイントはこうです。
- 医療的な約束をしない。 アプリは料理と食事の記録を手助けするもの。何も診断せず、小児科医の代わりにもなりません。
- 公式の出典をアプリ内で明記する。 まずWHOの補完食に関する推奨を土台にし、次に各国の推奨を使います。フランスでは、Santé publique Franceが冊子Pas à pas, votre enfant mange comme un grandを出しています。
- 人によるチェック。 これらの出典をもとに内容を書き、公開前に管理栄養士か小児科医に確認してもらいます。偽の専門家は使わないこと。
- 目に見える注意書き:「情報提供を目的としたもの」と書き、小児科医に相談するよう案内します。
- 応急処置は公式リンクで。自分で書いた手順は載せません。
- アレルギーは健康データとして扱う:明示的な同意、最小限の収集、エクスポート、削除、そしてApp Privacyでの正確な申告。
アプリの実態に合っていれば、カテゴリはFood & Drinkを選んでかまいません。ただしカテゴリは盾になりません。画面に健康に関するアドバイスがあれば、1.4.1が適用されます。
提出前の「健康・食事アプリ」チェックリスト
- アプリは診断、治療、投与量の計算をしない。するなら、それに見合う承認を持っている。
- 健康に関するアドバイスにはすべて、見つけやすい公式の出典リンクがある。
- 「出典と方法」画面に参考文献がすべて載っている。
- 医師への相談の案内がアドバイスのすぐそばにある。
- 検証・公開された方法なしに、iPhoneのセンサーだけで得た測定値を出していない。
- 計算(月齢、分量、スコア)は、境界値を含むテストでカバーされている。
- HealthKitは健康機能のためだけに、必要なタイミングで求めている。
- 健康データをiCloud、広告、通知の本文に流していない。
- カテゴリや質問票で必要な場合、医療機器の申告を済ませている。
- 年齢制限の質問票が、実際の医療コンテンツを正しく表している。
- 健康サービスを提供するアプリは組織として提出している。ルール5.1.1(ix)の要件です。この区分はデベロッパープログラムへの登録時に選びます。
- 審査メモに、出典、注意書き、そして承認があればそのリンクの場所を書いている。
1.4.1のリジェクトに返信する
- 審査担当者が何を指摘しているか確認する:測定機能、出典のないアドバイス、診断機能。
- ビルドで修正する:出典を見えるようにし、医師への案内を加え、検証できない機能は削除する。
- ストアのページを揃える:説明文、サブタイトル、スクリーンショットから医療的な約束をなくす。
- 場所を示して返信する。やり方はApp Reviewへの返信方法で解説しています。
英語のテンプレートです。事実だけを残して調整してください。
Hello,
Thank you for your feedback regarding Guideline 1.4.1.
In build [X]:
- every health recommendation links to its source
([organization]); see [screen] > "Sources";
- a reminder to consult a doctor appears on [screens];
- [feature] no longer claims to measure [value].
Best regards,
[Your name]
規制当局の承認を受けているなら、書類へのリンクを添えてください。ないなら、でっち上げないこと。Appleは証拠を求めます。
次の提出で1.4.1を通過する
Review Kitには、僕が毎回の提出前に確認していることをまとめました。Claude Codeでプロジェクトをチェックし、Appleにリジェクトされたら返信を準備してくれる2つのスキル付きです。人の目で見てほしいなら、僕と1時間のセッションを予約してください。アドバイス画面とストアのページを一緒に見直します。全体の進め方はAppleにリジェクトされたアプリのページにあります。
初めてのリリースを準備しているなら、無料診断を受けてください。最初に取り組むべきステップがわかり、Appleのリジェクト対策チェックリストも届きます。
Appleがアプリを承認すると保証できる人はいません。でも、見える出典と控えめな約束で、少なくともこのリジェクト理由はリストから消せます。
よくある質問
「Guideline 1.4.1 - Safety - Physical Harm」とはどういう意味?
Appleからのメッセージに書かれるリジェクトの名称です。審査担当者が、アプリの健康情報が誤っている可能性がある、あるいは診断に使われうるのに、出典、方法、医師への案内、承認といった求められる裏づけがない、と判断したということです。
注意書きだけでGuideline 1.4.1を通過できる?
できません。医師への相談の案内は要件の1つですが、出典や方法の代わりにはなりません。検証できない測定は、画面の上に注意書きを置いてもリジェクトされます。
iPhoneのカメラで血圧を測るアプリは作れる?
作れません。1.4.1は、スマホのセンサーだけでは測れない例として、血圧、体温、血糖値、血中酸素を挙げています。それ以外の測定でも、精度を裏づけるデータと方法の公開が必要です。
健康アプリを公開するには法人が必要?
健康サービスなら必要です。ルール5.1.1(ix)は、医療を含む規制の厳しい分野のアプリを、サービスを提供する組織自身が提出するよう求めています。レシピアプリやウェルネスアプリが必ずしも健康サービスにあたるわけではありません。
健康アプリの年齢制限はどうなる?
質問票の回答で決まります。Appleの区分では、ウェルネスの話題は9+から、たまに出てくる医療情報は13+、頻繁に出てくる医療情報は16+で登場します。狙いたい区分ではなく、実際のコンテンツに沿って答えてください。

