ガイドライン4.3スパムでリジェクトされたら
著者:Mehdi Azizi
更新・9 分
ガイドライン4.3は同じアプリの量産と飽和カテゴリの類似アプリを拒否します。AI製アプリが引っかかる理由と、Appleへの返信方法、回避策を解説します。
Guideline 4.3 Design Spam:結論から
ガイドライン4.3は、App Storeのスパム対策ルールです。4.3(a)は同じアプリを何度も公開することを禁じていて、実際には作り直しただけのアプリに対して使われています。4.3(b)は、既存のアプリと見分けがつかないアプリを拒否します。特に飽和したカテゴリが対象です。対処法は表面的な修正ではありません。ほかの誰も提供していないメイン機能を持つことです。
これはいちばん直しにくいリジェクトです。アプリの存在意義そのものが問われるからです。プロダクトが既存のアプリに似すぎていれば、コードをいくら修正しても足りません。
僕は自分のiOSアプリを公開しています。ミニゲーム付き目覚ましのSolysと、トレード練習アプリのTradaZenはApp Storeに並んでいます。NoleraとClicは一度リジェクトされてから修正しました。2.1、5.6.3、2.3.2のリジェクトを受けた経験は、Appleがアプリをリジェクトする理由で詳しく書いています。4.3のリジェクトは一度も受けたことがなく、受けたふりをするつもりもありません。このガイドはAppleの公式テキストをもとに、内容を言い換えて説明しています。
ガイドライン4.3には正確に何が書かれているのか?
4.3「Spam」は、App Review Guidelinesのセクション4「Design」にあります。2つのパートは、それぞれ別の問題を対象にしています。
4.3(a):アプリはひとつ、バリエーションごとのコピーはNG
公式テキストは、同じアプリに複数のBundle IDを作らないよう求めています。Appleの例は、世界中の都市ごとに地図アプリを出すのではなく、都市を検索できる世界地図アプリをひとつだけ出す、というものです。地域別、スポーツチーム別、大学別といったバージョンがある場合は、アプリをひとつだけ提出し、バリエーションはアプリ内課金で提供するようAppleは勧めています。
実際のリジェクトメッセージは、この例よりも踏み込んでいます。開発者がAppleの開発者フォーラムに公開した4.3(a)のリジェクトでは、Appleはそのアプリがほかの開発者が提出したアプリと「a similar binary, metadata, and/or concept」を共有していて、違いはわずかしかないと書いています。メッセージでは、こうした類似アプリや作り直しアプリをスパムと呼んでいます。大事なキーワードは3つです。バイナリ(コンパイル済みのコード)、メタデータ(名前、説明文、スクリーンショット)、そしてコンセプトです。
同じ方向のルールがほかに2つあります。ガイドライン4.2のサブルールである4.2.6は、市販のテンプレートやアプリ生成サービスで作ったアプリを拒否します。ただし、コンテンツの提供者本人が直接提出する場合は別です。ガイドライン4.1「Copycats」は、人気アプリの名前やUIを少し変えただけのコピーを禁じています。冒頭はシンプルな一文です:「Come up with your own ideas.」
4.3(b):飽和したカテゴリ
4.3(b)は、すでに広く出回っているものと見分けがつかないアプリを拒否します。Appleの考えでは、こうした便乗型のバリエーションはApp Storeでの発見しやすさを損ないます。
対象のカテゴリはテキストに明記されています。マッチングアプリ、懐中電灯、効果音、壁紙、シンプルなタイマー、占い(「fortune telling」)のアプリは、すでに十分に揃っています。これらのカテゴリでは、「a meaningfully different or improved experience」を提供しない限り、Appleは新規の提出を受け付けません。アップデートも改善もされていないアプリや、誰にも使われていないアプリは、削除されることさえあります。
もっと厳しい2つ目のリストもあります。飲みゲーム、カーマ・スートラ、おなら・げっぷ系のアプリです。Appleはこれらを低品質、あるいは手抜きと見なしていて、この種の提出を繰り返すとデベロッパープログラムから除名される可能性があります。
星占いや占星術は、現行のテキストにはそのままの形では載っていません。とはいえ、ありきたりな毎日の星占いアプリは占いにかなり近いので、僕なら飽和カテゴリとして扱います。
AIやテンプレートで作ると4.3に引っかかりやすい理由
テンプレートはそもそも全部を共有している
ネットで売られているアプリのテンプレートは、たくさんの開発者が買います。色やアイコン、名前を変えて、そのまま提出します。Appleは類似性をどう検出しているか詳しく明かしていませんが、メッセージではバイナリ、メタデータ、コンセプトに触れています。この3つは、テンプレートがすべてのコピーと共有しているものです。4.3(a)と4.2.6が狙っているのは、まさにこのケースです。
AIはアイデアの「平均的なバージョン」を作る
AIに「習慣トラッカーアプリ」を頼むと、そのアイデアのいちばんありそうなバージョン、つまり既存アプリの平均を返してきます。画面もオンボーディングも同じです。コードはオリジナルかもしれませんが、コンセプトはそうではありません。そして4.3(b)が評価するのはコードの独自性ではなく、体験です。
AIは差別化されたアイデアならとても上手にコードにしてくれます。でも、差別化のポイントを代わりに見つけてはくれません。AIが得意なこと、苦手なことはAIでiOSアプリを作るで詳しく書いています。
アプリを本当に差別化する方法
誰もこの形では提供していないメイン機能
4.3を避けるために、僕がすべてのアイデアに課しているルールがあります。ほかの誰もこの形では提供していないメイン機能を持つことです。ただの目覚ましアプリなら突っ込まれるでしょう。シンプルなタイマーはAppleが挙げたカテゴリに入っています。Solysは、ミニゲームに勝たないと止められない目覚ましです。違いは一文で言えて、最初に使った瞬間にわかります。
テストはこうです。「これは〜できる唯一のアプリです」を完成させてみてください。「でも、もっときれい」としか続けられないなら、差別化が弱すぎます。
自分だけのコンテンツとロジック
見た目を変えるだけでは足りません。アプリを差別化するのは、そのアプリが生み出すものです。そのアプリのために書いたコンテンツ、アプリが計算するデータ、ほかでは見つからない仕組みです。テンプレートやオープンソースのプロジェクトから始めるなら、色だけでなくロジックを変えてください。
それを証明する名前、スクリーンショット、説明文
4.3(a)のメッセージはメタデータに触れています。ガイドライン2.3.10と同じく、審査担当者はストアページも見ています。「懐中電灯Pro」のようなありきたりな名前は、アプリを開く前からコピーだと宣言しているようなものです。名前とサブタイトルで唯一の機能を伝え、最初のスクリーンショットでそれを見せ、説明文もそこから始めてください。この作業は検索順位にも効きます。やり方はASO App Storeのページにまとめています。
バリエーションはすべてひとつのアプリに
アイデアが都市別、チーム別、テーマ別に展開できるなら、アプリはひとつだけ公開して、中で選べるようにしてください。バリエーションが有料なら、アプリ内課金にします。これが4.3(a)の文字どおりの読み方です。
App Store Connectで4.3のリジェクトに返信する方法
かつてResolution Centerと呼ばれていたものは、今はApp Store ConnectのApp Reviewセクションにあります。再提出するまでは、そこでApp Reviewのメッセージに返信できます。テキストに加えて、スクリーンショットや書類を添付できます。
- サブルールを特定する。 4.3(a)のリジェクトは、ほかのアプリとの類似や複数のバリエーションについて触れています。4.3(b)のリジェクトは、飽和したカテゴリについて触れています。
- 中身について正直になる。 アプリがテンプレート由来だったり、既存アプリに本当に似ていたりするなら、反論しないでください。言い回しではなく、プロダクトを変えましょう。
- 違いが本物なら、それを見せる。 英語で、短く、事実だけで返信し、メイン機能の動画を添付します。
僕ならこのテンプレートを使います。状況に合わせて調整してください。
Hello App Review team,
Thank you for your feedback regarding Guideline 4.3.
[App name] is not a variant of an existing app. Its core feature is:
[one sentence: what the user can do that no other app offers this way].
What makes it different:
- [Unique feature, and where to find it in the app]
- [Original content or logic created for this app]
- [Why it matters to the user]
All code, content and assets were created for this app.
We do not publish any other app based on the same code or concept.
Attached: a short screen recording of the core feature.
If a specific part of the app looks similar to existing apps,
could you tell us which one, so we can address it precisely?
Best regards,
[Your name]
コードとほかのアプリについての2つの文は、事実である場合だけ書いてください。Appleへの返信でうそを書くと、リジェクトよりも高くつきます。どんなリジェクトにも使える一連の対応は、Appleにリジェクトされたアプリのページにあります。
App Review Boardに異議申し立てをするタイミング
審査担当者がアプリのコンセプトや仕組みを誤解した、あるいは審査で不当な扱いを受けたと思うなら、AppleではApp Review Boardに異議申し立てができます。Appleの条件は3つです。アプリがガイドラインを守っている具体的な理由を示すこと、リジェクトされた提出1件につき異議申し立ては1回だけにすること、追加情報を求められたら先にそれに答えること。
違いが本物で、アプリ内で目に見えていて、App Store Connectでの返信だけでは伝わらなかったときに、異議申し立てをしましょう。テンプレート、クローン、違いのないバリエーションの場合は、異議申し立てをしてもプロダクトは変わりません。
同じページで、AppleはApp Reviewとの30分のビデオ面談も提供しています。アイデアが飽和カテゴリすれすれなら、作り始める前に聞いてみてください。
提出前の4.3対策チェックリスト
- デザインの話をせずに「これは〜できる唯一のアプリです」を言い切れる
- メイン機能が、探さなくても最初に使った瞬間にわかる
- 画面、テキスト、サウンド、ビジュアルのどれも、テンプレートからそのまま持ってきていない。ロジックも変えてある
- 同じコードと同じコンセプトを共有する2つのアプリを公開していない
- バリエーション(都市、チーム、テーマ)はひとつのアプリにまとめている
- 名前とサブタイトルが、カテゴリではなく唯一の機能を伝えている
- 最初のスクリーンショットと説明文が、差別化ポイントから始まっている
- 4.3(b)で挙げられたカテゴリに触れるアプリなら、審査メモで何が違うか、どう試せるかを2文で説明している
4.3はアイデアを選ぶ段階で防ぐもの
飽和したニッチに「また1本」アプリを出すと、問題が2つあります。Appleが4.3(b)でリジェクトする可能性があること。そして通ったとしても、何年も前からインストールされているアプリと、選ばれる理由もないまま戦うことになることです。
だから差別化は、提出のときに付け足すものではありません。最初の1行を書く前に決めるものです。アイデアを、特定のユーザー向けのはっきりしたメイン機能ひとつに絞り込みます。これがしっかり枠を決めたiOSアプリのMVPの核であり、僕のアイデアからApp Storeまでの方法の最初のステップです。
コードを書く前に正しいアイデアを選ぶ
iOS Kitでは、最初のステップがまさにそのためにあります。コードを書く前に、アイデア、ターゲット、価格を決めます。
もう4.3のリジェクトを受けてしまった? Apple Review Kitを使えば、指摘されたルール、その要求内容、修正と返信の例がわかります。今すぐ一緒に状況を見てほしいなら、僕と1時間のビデオ通話を予約してください。
Appleの承認は誰にも保証できません。僕も同じです。でも、余計な1本になりそうなアイデアを最初の段階で外すお手伝いはできます。
まだアイデアに迷っていますか? 無料の診断は、あなたのプロジェクトをもとに、最初に取り組むべきステップを教えてくれて、僕のAppleリジェクト対策チェックリストも届きます。そのあとはトップページで、コードを書く前にアイデアを選んでゼロからではなくモバイルアプリを作る方法を紹介しています。
よくある質問
4.3(a)と4.3(b)の違いは何ですか?
4.3(a)は重複が対象です。同じアプリの複数バージョンや、細部以外はコード、ストアページ、コンセプトをほかのアプリと共有しているアプリです。4.3(b)は飽和が対象です。懐中電灯のように、アプリが多すぎるカテゴリで何も新しさがないものです。
AIで作ったアプリは4.3でリジェクトされますか?
AIで作ったこと自体が理由にはなりません。Appleが評価するのは結果で、ツールではありません。リスクは、ありきたりなアイデアをAIが既存アプリの平均的なバージョンにしてしまうことにあります。メイン機能が唯一のもので目に見えていれば、コードの出どころは4.3の観点では問題になりません。
テンプレートを使ってもリジェクトされずに済みますか?
技術的な出発点として使い、根本から作り変えたテンプレートなら問題ありません。名前と色を変えただけでほぼそのまま公開したテンプレートは、まさに4.3(a)と4.2.6が狙っているものです。
4.3でリジェクトされたら、アカウントやBundle IDを変えるべきですか?
いいえ。IDやアカウントを変えても、アプリは変わりません。それに4.3(b)では、価値の低いアプリの提出を繰り返すと、デベロッパープログラムから除名される可能性があるとしています。長く続く唯一の解決策は、プロダクトを変えてから再提出することです。
マッチングアプリや壁紙アプリは今でも承認されますか?
はい。本当に違う、または改善された体験を提供していれば承認されます。それがAppleのテキストが定めている条件です。その違いは、アプリ、ストアページ、審査メモで見える形にしておく必要があります。